第40章 寮生活

「奥様、お嬢様はもうだいぶ遠くまで行かれてしまいました」

鈴木は困りきった顔をしていた。

今から探せと言われても、どこから当たればいいのか見当もつかない。

橘礼子は胸元を押さえた。

「どうしてあの子、あんなふうに出ていくの? どういうつもり? もう戻る気はないってこと? 私のことも母親だと思わないっていうの?」

鈴木はうつむいたまま、何も言えなかった。

次の瞬間、橘礼子は手にしていた茶碗を床へ叩きつけた。

パァンッ――と、耳を打つ鋭い音が響く。

「私が間違ってたっていうの? 何をしたっていうのよ! あの子は令嬢の立場を奪おうとして、晴美のことなんてこれっぽっちも考えず、そのう...

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